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kaorukibun




  少女は電車で

 買ったばかりのいろがみに
 折り目をつけていた

 友達はできたのに
 
 茶色の相手が見つからなくて
 かわいそうだと思ったんだ

 少女の横に
 「う」の行を見ている人がいた

 新しくできた友達を
 あげようかと思ったんだ


  少女は賑わうレストランで

 コートも脱がずに
 一人で胃をふくらませていた

 やさしくされて
 少し照れたんだ

 味わうことの
 意味を考えてたんだ


  少女は広い道路で

 帽子を脱いだ髪に
 冷たい風を絡ませていた

 走ることのよろこびを
 知っていたから

 青がいることを
 知ってたから


  少女はガタガタ揺れる青の中で

 冬の夜と会話した


 「わたしはあなたを選んだの」
 「うん、分かってるよ」







 
by kaoru3211985 | 2006-12-07 23:13
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